アメリカ市場で存在感を増すZ世代は、ブランド選択において価格やデザインとともに、環境への配慮・透明性・倫理性といった企業の価値観を重視しています。特に環境問題や社会的責任に敏感で、サステナブルな取り組みには多少の追加費用を払ってでも支持する傾向があります。
この記事では、アメリカ市場でZ世代の支持を得るために、日本企業が商品開発やブランディングに取り入れるべきポイントを解説します。
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Z世代がブランドを選ぶ際に重視する価値観
サステナブルな選択が前提に
アメリカのZ世代は、ブランド選びの際に環境への配慮を強く意識しています。Blue Yonderの調査によれば、85%がサステナビリティを重要視し、商品の素材や包装、配送方法まで環境負荷をチェックしています。中でもリサイクル素材を使った包装や、紙ベースの梱包材へのニーズが高まっており、こうした取り組みに対しては追加費用を払うことも厭わない傾向があります。
信頼されるには「見える化」が不可欠
Z世代は企業の発言よりも、実際の行動を重視しています。特に「環境に配慮している」といった表面的な主張には厳しく、約半数が企業のサステナビリティに関する発信を「時々しか信用できない」と感じています。
そのため、信頼を得るには、実績を裏付ける数値データや進捗状況など、根拠ある情報を示すことが欠かせません。誠実な姿勢と、それを継続して発信し続けることが、Z世代との信頼関係を築く上で重要です。
ブランドの姿勢も評価対象に
Z世代は商品の品質や価格だけでなく、企業の価値観や行動も重視します。人権、労働環境、社会的責任に対する取り組みが評価され、パートナーシップや地域貢献などもブランド選択の基準となります。
「何を売っているか」だけでなく、その企業がどんな考え方で行動しているかも重視しています。
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サステナブルな取り組みで支持を得ているブランド例
Patagonia
アウトドアブランドのPatagoniaは、「Earth Is Now Our Only Shareholder(地球が私たちの唯一の株主)」と宣言し、利益を環境保護に還元しています。中古品の販売や修理を行う「Worn Wear®」で製品の長期使用を促したり、「1% for the Planet®」を通じた寄付活動にも参加しています。環境活動への参加を呼びかける仕組みや、環境負荷の情報開示など、透明性のある取り組みも徹底しています。
ThredUp
ThredUpは、ファッション廃棄問題の解決を目指すオンラインの古着販売のプラットフォームです。中古衣料の再流通を促進し、新品の購入を減らすことでCO₂排出量の削減に貢献しています。「Choose Used」などのキャンペーンやリセール支援サービスを通じて、サステナブルなファッションの普及に取り組み、消費者や企業への啓発活動も積極的に行っています。
Everlane
Everlaneは「Cleaner Fashion」を掲げ、ファッション業界の環境・社会課題の解決に取り組んでいるブランドです。温室効果ガスを2030年までに半減する目標を掲げ、再生素材の活用や安全な労働環境の整備にも力を入れています。また、製造過程を公開する「ラディカル・トランスペアレンシー」により、消費者が安心してブランドを選べるようにしています。
データで読み解くZ世代の消費行動
アメリカのZ世代は、企業のサステナブルな姿勢を重視する消費行動を取っています。Blue Yonderの調査によると、Z世代の85%が「環境配慮は商品・ブランド選びにおいて重要」と回答しており、約40%が「最大5%までの追加料金」、25%が「10%以上の追加料金」を支払っても持続可能な商品を選ぶとしています。さらに、全体の70%が「過去6か月以内にサステナブルな商品を扱う小売店で買い物をした」と答えており、実際の購買行動にも反映されています。
また、環境に優しい包装や配送方法は、比較的取り入れやすい要素として支持されています。調査では61%が「リサイクル素材の使用」を最も重視しており、47%が「環境配慮型の配送に追加料金を払ってもよい」と回答しています。Z世代は理想だけでなく、実行可能で具体的な変化を求めているのです。
引用:Blue Yonder
ただし価格が最優先となる場面も多く、例えばYouGovの調査によると、衣料品購入の際には「価格(52.1%)」「コストパフォーマンス(43.8%)」が最重要視され、サステナビリティは14.7%にとどまりました。このように、理念と現実の間にはギャップも存在します。
引用:YouGov
日本企業のための商品開発とブランディングのヒント
アメリカ市場で日本企業がZ世代の支持を得るには、サステナビリティや透明性といった価値観を取り入れた戦略が不可欠です。アメリカでのブランド構築や商品設計に役立つ3つのポイントをご紹介します。
- サステナブルな取り組みは、数字や事例で伝えることが信頼につながる
- 透明性のある情報開示が共感を生む
- 環境にやさしいだけでなく価格のバランスも忘れずに
アメリカのZ世代は、リサイクル素材の使用や環境負荷の低い包装など、企業のサステナブルな姿勢を重視します。ただし「環境に優しい」と謳うだけでは不十分で、実際の取り組みを数値やデータで示すことが信頼構築につながります。
製品の製造過程や原材料の調達先、価格設定の根拠などを積極的に公開する姿勢が、Z世代の信頼と共感を得る鍵です。Everlaneのように、企業の内側までオープンにする「ラディカル・トランスペアレンシー」で、差別化を行うことができます。
理念重視のZ世代ですが、価格やコストパフォーマンスにも敏感です。長く使える品質や、日常生活に合った機能性に加え、手に取りやすい価格であることも重要です。環境にやさしいだけでなく、使いやすくて手ごろな価格の商品は、Z世代から選ばれやすくなります。
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文房具やオフィス家具などの製造・仕入れ・販売を行う大阪に本社を置くメーカーで、中国やインド、ベトナムなどで海外事業も展開されている「コクヨ株式会社」様。この度はコクヨ株式会社のグローバルステーショナリー事業本部グローバル戦略室グローバル[…]
まとめ
アメリカのZ世代は、環境への配慮や情報の透明性、人や社会に配慮した行動といった価値観を企業に求めており、そうした考え方がブランドを選ぶ際の大きな基準になっています。言葉だけのアピールではなく、実際の行動や数字で取り組みを示す「見える化」が信頼につながり、企業の誠実さや社会貢献の姿勢も高く評価されます。
ただし、Z世代は現実的でもあるため、価格の手ごろさや使いやすさといった面も重視しています。理想を掲げるだけでなく、実用性やコストパフォーマンスとのバランスを取ることが成功のカギです。Patagonia、ThredUp、Everlaneのようなブランドが支持されているのは、このバランス感覚に優れているからです。
アメリカ市場でZ世代の支持を得たいと考える日本企業は、自社の強みと社会的責任を結びつけた、一貫性のあるブランディングと商品設計を意識することが重要です。
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