この記事は、Podcast番組「Emily. Radio 海外事業を育てるヒント」の内容をもとに作成しています。話し手:松尾裕介(COEL, Inc.代表)
「売上を伸ばしたい」「販路を広げたい」——海外進出の理由として、最もよく聞く言葉です。でも実は、この『売上拡大』という目的だけでは、海外進出は成功しません。
なぜなら、『売上拡大』の背景にある”本当の理由”を深掘りしないと、どんな手段を選んでも判断がブレて、続かなくなってしまうからです。
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海外進出の3つのパターン
海外進出の目的って、大きく3つのパターンに分けられると思っていて、『売上拡大』『経営資源の獲得』『企業としての姿勢』に整理できます。
今回は『売上拡大』に絞って深掘りしていきたいと思いますが、まず他の2つについても少し説明しますね。
経営資源の獲得
これは人材や技術、現地パートナーとのネットワークなど、”海外でしか得られないもの”を取りに行くという動機です。
最近は、アメリカ現地のクリエイターやエンジニアと直接繋がってプロダクトを作りたいというスタートアップも増えていますし、そこから日本への逆輸入という例もありますね。
企業としての姿勢を示す
これはどちらかというと上場企業や資金調達中のスタートアップに多いんですが、「うちはグローバルを見ている会社です」といったメッセージを発信する意味合いで海外展開を選ぶケースです。
市場拡大だけでなく、”企業価値”の一部としての進出というイメージですね。PR目的と言えるかもしれません。各ステークホルダーからの信用力アップに効果的ですし、優秀な人材を得るための採用活動にも効果があったりもしますよね。
『売上拡大』の目的をさらに深掘りする
この3つのパターンの中だと、確かに売上拡大のパターンが一番ケースとしては多いと思います。販路拡大・売上拡大が目的になるのが一般的ですよね。
でも大事なのは”Why”の部分です。「なぜ、海外で売上を伸ばしたいのか?」ということなんですよ。
たとえば、「日本市場が頭打ちだから」「成長性があるのは海外だから」って、すごくよく聞く理由です。でもそれって、”理由”というより”雰囲気”になってることが多くて。本当に会社として、その判断を下す根拠になってるのか?っていうと、怪しいケースも多いんです。
なんとなく「海外に出なきゃ」みたいな空気って、確かにありますよね。”やるべきことっぽいから”動いてるっていう感じ。
「売上がほしい」だけでは本気で動けない
「売上がほしい」っていうのは、表面的には分かりやすい。でも、それだけだと本気で動けないんですよ。
たとえば、その売上って「“いつまでに・どのくらい”必要なんですか?」とか。日本での成長が鈍ってるなら「国内の既存事業の補完なのか? それともまったく新しい市場の開拓なのか?」とか。
大義的な話でいくと「海外の人に必要とされているのか、届ける使命があるのか?」。ここが整理されていないと、進出しても迷走しがちです。
“なぜ”売上がほしいのかを明確にしないと、社内での意思統一も難しいんですよね。一見「売上拡大」に向けて同じベクトルを向いているようで、実はその足並みがバラバラということになりかねません。
“守りの売上”か”攻めの売上”かで戦略は変わる
それに、そもそも海外のどこで売上を取りたいのか?という地点も曖昧なまま動き出してしまうと、「アメリカも見ておこう」「とりあえず展示会に出てみよう」みたいな判断になってしまう。それって、戦略じゃなくて”思いつき”というか”反射”なんですよね。
「売上のため」と一言で言っても、それが“守りのための売上”なのか、“攻めのための売上”なのかで、進め方って全然違うんですよ。目指すゴールが違うと国選びはもちろんのこと、進め方も進出先も全く変わってきます。
ここがすごく重要なポイントです。
状況が、なんとか売上を死守しないといけないという守りなら、早期に成果を求められるかもしれないし、既存のプロダクトで短期回収できる設計にしないといけない。攻めなら、認知を育てるところから始めて、回収は3年後かもしれない。
でも、なぜか”Why”を言語化しないまま、”とりあえず出る”になってしまうと、その判断基準が全部フワッとしてしまう。
“なぜ出るのか”が決まってないと、ゴールも設定できないし、そもそも出た後のロードマップも描けないんですよ。歩き始めたものの、道に迷ってコストだけかかって疲弊するということになってしまいます。
「売る構造」を作ることが目的
“海外に出る=売る”じゃなくて、”海外に出る=出ていく目的をもとに、売る構造を作る”ぐらいのスタンスでないと「思ったほど売れないなー」「やっぱり無理だった」で終わってしまう。
売ることだけを目的にするのではなくて、背景にある”なぜ”をしっかり見据えて土台から設計していくことが大事なんですよね。当たり前のようで、いざ実践となると見落としがちな視点だと思います。
これがあるだけで、進出の設計がまるで変わるので、ぜひ最初に立ち止まって考えてもらいたいです。
目的が明確になれば、軸が通る
簡単におさらいすると、「海外で売上を伸ばしたい」という目的自体はごく自然なものなんですが、その”売上”や”進出することの意味”が何のために必要なのかを言語化できているかどうかが、海外進出の今後の鍵になるというお話でした。
目的が曖昧なままだと、手段もフワッとしてしまって、「アメリカも視野に入れておこう」とか「とりあえず展示会に出てみよう」みたいな、なんとなく動いてしまう形になりがちです。
でも、逆にここがクリアになっていれば、
- どの国を選ぶか
- どんな仕組みをつくるか
- いつ・どのくらいの結果を目指すのか
そういったことが一本の軸でつながってきますし、チーム全体の進め方もぶれにくくなります。
海外進出というと、つい「どうやって出るか?」という手段から入ってしまいがちですが、その前にぜひ、「なぜ出たいのか?」をチームで共有しておく。それだけでも、全体の設計が変わってくると思います。
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この記事の内容は、Podcast番組「Emily. Radio 海外事業を育てるヒント」でも配信しています。海外進出を目指す企業や、すでに海外事業に携わる方々に向けて、現場目線での課題解決につながるヒントを、アメリカから日本語でお届けする番組です。ぜひフォローして、エピソードをお聴きください。
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