販売販路拡大のため海外ビジネスを考える日本企業の場合、アメリカは注目すべき市場であると言えるでしょう。
ただ言語の問題や物理的な距離感や時差から、アメリカでのビジネスに躊躇してしまう場合もあるかもしれません。ですが、国土が広く人口も多いアメリカでのビジネスは、販売販路拡大のために最適な市場であると言えるでしょう。
この記事では、アメリカに進出して実際に成功を収めている日本企業がアメリカで行なった施策や戦略をご紹介します。
アメリカは国籍や宗教など多様な人々が集まる国であり、文化や価値観の違いが顕著です。そのため、政治的・文化的にデリケートなトピックに関しては、アメリカのビジネスにおいても特に慎重な対応が求められます。例えば、祝日やイベント、各種のAw[…]
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UNIQLO(ユニクロ)
UNIQLOは機能性とシンプルさを重視した高品質で手頃な価格のアパレルを提供することで、アメリカのファッション市場でニッチな市場を開拓してきました。
アメリカにはGAPやOLD NAVY、Forever 21のような世界を代表するファストファッションブランドが存在します。
UNIQLOではこれらのブランドとは差別化された、機能性とシンプルさを重視した高品質で手頃な価格のアパレルを提供することで、アメリカのファッション市場でニッチな市場を開拓してきました。
流行に流されすぎず手頃な価格帯にも関わらず、高品質なアイテムはアメリカ現地でも注目されており、ニューヨークの一等地に旗艦店を出店しているほどです。
UNIQLOは現在アメリカに57店舗あり、12の州と47の都市に都市に出店しています。直近でも10店舗以上の出店が確約しており、今後は2027年までに北米で200店舗に到達する計画だそうです。
また今年だけでも20店舗以上の新店舗が出店されるそうで、今まで実店舗のなかったテキサス州に5軒の新店舗の出店が確約されています。
引用:PR Newswise
イノベーション
ヒートテックやエアリズムなどの革新的な素材や技術への取り組みを行なったUNIQLOは、実用的で多用途な衣類を求めるアメリカの消費者の要望と一致しました。
ミニマリストの美学
ブランドが提供するミニマリストなデザインは、ファッションにおけるシンプルさと実用性というトレンドの高まりと共鳴しています。
ブランドメッセージ
UNIQLOはマーケティングにおいて日常の快適さとスタイルを重視し、幅広い消費者にアピールしています。
機能的でスタイリッシュな衣類の需要を理解し、それに応えることでUNIQLOは品質を犠牲にすることなく、付加価値を求めるアメリカの人々から信頼できるブランドとしての地位を確立しました。
Nintendo(任天堂)
Nintendoは家族向けのエンターテインメントと革新的な製品によりアメリカで長年愛されてきたブランドです。
特にNintendoのゲーム機の支持が非常に高く、スーパーファミコンやゲームボーイ、Nintendo 64、Nintendo Switchなどはアメリカでも大人気となりました。
特にNintendo Switchは現在、ティーンエイジャーや子供がいる家庭に欠かせないアイテムとなっています。
またゲームから誕生したキャラクターも親しまれており、マリオやポケモン、カービーなどの日本でもお馴染みのNintendoキャラクターたちは、アメリカでも非常に人気があります。
懐かしさと革新の融合
Nintendoは、新しいユーザーを引き付けるために絶えず革新を続けながら、年配の消費者の懐かしさをうまく利用してきました。
マリオやゼルダのような昔から存在する象徴的なゲームは、長年のファンと新規参入ファンの双方にアピールすることができるので常にプロモーションとして活用されています。
ブランドの一貫性
楽しく想像力豊かなゲームの体験を提供するというNintendoの取り組みは、ブランドのアイデンティティの基礎となっています。
またファミコンなどの古いゲーム機に搭載されたゲームであっても、オンラインで利用することができるので新旧のファンたちがまたファミコンなどの古いゲームにアクセスしやすくなりました。
それにより新規ユーザーの獲得だけには留まらず、かつてNintendoのゲームを利用していた世代も長い時間を経て、再度ヘビーユーザーとして戻ってくるケースも多くあります。
魅力的なマーケティング
魅力的なデジタルキャンペーンやパートナーシップを含むブランドのマーケティング戦略は、ユーザーの刺激を維持し続けます。
Nintendoはアメリカのゲーマーの多様な興味を理解し、魅力的な体験を一貫して提供するブランド力は、ゲーム業界のリーダーとしての確固たる地位を固めることに成功しました。
Toyota(トヨタ)
Toyotaは、1957年にアメリカでビジネスをスタートさせました。Toyotaが昔から今もなおアメリカ市場で成功を収めているのは、信頼性、効率性、顧客満足度を重視していることの証だと言えるでしょう。
アメリカでは日本ブランドの車が大人気となりますが、なかでもToyotaの車は特に人気で日常的に乗車されています。
日本車は他国の車種よりも故障しにくいと言われており、メンテナンスの頻度が通常の他車両よりも少なく済むと考えられています。
通常のToyota車の人気は計り知れませんが、Toyotaの高級ブランドLEXUS(レクサス)の人気も著しいです。
品質に対する評判
Toyotaは、長期的な価値を持つ信頼性の高い車両の製造に重点を置いており、アメリカのユーザーの信頼を得ています。
実際に車の修理ショップではToyotaの車が持ち込まれることは他のブランドの車より割合が少なく、車のトラブルを抱えたくないのであればToyota車をに乗り換えた方が良いとアドバイスされるほどです。
顧客中心のアプローチ
Toyotaはユーザーからのフィードバックと継続的な改善を優先し、進化する消費者のニーズに車両が確実に対応できるようにしています。
また多くの販売店をアメリカ国内に持つためユーザーのニーズに即時に対応することができ、工場自体もアメリカに構えているので日本からの輸入に依存せずアメリカでビジネスが完結し、よりアメリカにフィットしたビジネスを行うことが可能となりました。
持続可能性とイノベーション
ハイブリッド車と電気自動車の技術への投資は、イノベーションと環境責任への取り組みを示しています。
Toyotaではブランド価値をアメリカのユーザーからの期待と一致させることで、忠実な顧客基盤と強力な独占市場を構築しました。
MUJI(無印良品)
MUJIは、ミニマリスト的かつ環境に優しいアプローチでアメリカで人気を博しています。
特にシンプルなデザインで洗練されたアイテムやパッケージと店舗は、他にはなく唯一無二のブランドとして認知されています。
また製品の品質と耐久性を重視することで、長持ちする製品を提供するという取り組みと、持続可能性と環境に配慮した取り組みにより、サステナビリティーに注目しているユーザーからの興味を集めています。
さらに品質を重視しながらも手頃な価格帯の製品を提供しており、環境に優しく実用的であるにも関わらず手頃な価格ということで、信頼できるブランドとしてのイメージを強化しました。
シンプルさと機能性
MUJIの製品はシンプルさと実用性を考慮して設計されており、すっきりとした暮らしを求める消費者にアピールします。
どんなライフスタイルでもフィットする製品を提供することで、特定のユーザーに対してではなく、より多くのユーザーにブランドをリーチすることが叶いました。
持続可能な実践
持続可能性に重点を置くMUJIは、環境意識の高いユーザーの共感を呼び信頼性を高めています。
環境に優しい素材やリサイクル素材、廃棄物の削減を重視した製造など、企業としての環境責任を十分に理解し、ユーザーに対してこの取り組みを示すことでより人気のあるブランドへと成長しました。
ユニークな小売体験
MUJIの店舗は、製品探索と顧客エンゲージメントを重視した独特の買い物体験を提供しています。
この買い物体験では、シンプルさと持続可能性というブランド哲学を伝える力があり、アメリカにいる熱心なMUJIファンを惹きつけています。
アメリカ市場でのブランディングの重要性
文化的理解
アメリカで成功している日本企業・ブランドは、アメリカの文化と消費者行動を理解することに注力し、ブランディングとマーケティング戦略を効果的にアメリカに適応するようなカスタマイズを行なっています。
日本で成功した方法と同じブランディングとマーケティングをアメリカで展開するのではなく、アメリカ用のブランディングとマーケティングを正しく行えた場合に、アメリカ市場で他社競合と同じスタートラインに立つということを念頭に置きましょう。
一貫性と明確さ
明確で一貫性のある企業・ブランドからのメッセージは、ユーザーからの信頼と認知度を高め、競争の激しいアメリカ市場でブランドを際立たせる結果に導きます。
さまざまな施策を行なってもアメリカのユーザー刺さらず、多方向にチャレンジを試みる場合もあると思いますが、明確な一貫性をブレさせず、企業・ブランドの核として必ず意識して変化しないように心がけましょう。
適応性
変化するユーザーのトレンドと好みに適応するブランドは、関連性を維持しアメリカ市場での存在感を高め続けることができます。
先ほど「明確な一貫性をブレさせず」とお伝えしましたが、トレンドや流行に応じた施策を行うことは非常に有効となります。
あくまでも「企業・ブランドの核に対する明確な一貫性」であり、ブランディングとマーケティングにトレンドや流行を臨機応変に取り入れることは企業の成長に繋げることとなります。
アメリカでビジネスを行っていたり、取引相手がアメリカの企業の場合、現地の祝日やイベント行事を把握することは円滑なコミュニケーションを取ったり、売上を確保する上で非常に重要だと言えます。年間を通したアメリカの祝日やイベント行事を把握するこ[…]
オンラインアシスタント/Emily.
これまでアメリカで成功を収めている日本企業の施策や戦略などをお伝え致しましたが、自社でも同じように運用したいけれどアメリカ市場に対して不安要素がある場合、オンラインアシスタントにアメリカビジネスのサポートを行なってもらうと良いでしょう。
オンラインアシスタントでは、現地の企業がブランディングやマーケティング、施策や戦略などのサポートを行います。
サポート内容はオンラインアシスタントを提供する会社により異なりがありますので、自社では手の回らない業務や、必ず行う業務に対してサポートしてくれるかを必ず確認しましょう。
オンラインアシスタント/Emily.では、アメリカ在住の日米バイリンガルのアシスタントがアメリカでビジネスを行う日本企業のサポートを行なっております。
上記で紹介したオンラインアシスタントの業務内容に加え、カスタマーサポート、マーケットリサーチ、Webサイト構築、EC運用、マーケティング、SNS運用などさまざまな業務を担っております。
また言語に不安がある場合、通訳や翻訳もサポートしているので、アメリカでビジネスを行ううえでの不安材料を最小限にすることが可能です。
日本企業がアメリでビジネスの成功を収めるためには、アメリカ現地の適切な知識やスキルを持った人材と仕事を行うことが必須となりますが、アメリカで優秀な人材を採用することは非常に難しいとされています。そこで近年注目されているのが、「オンライン[…]
まとめ
アメリカに進出して実際に成功を収めている日本企業がアメリカで行なった施策や戦略をご紹介しました。
ご紹介した日本企業は大企業だからという理由で、アメリカで成功を収めた訳ではありません。
大企業の場合、多少の知名度は元々あるかもしれませんが、アメリカ市場で成功を収めるためには大企業である必要は一切ありません。
アメリカで成功を収めるためには、アメリカ市場やアメリカのユーザーに沿った商品開発や、ブランディングやマーケティング、カスタマーとのコミュニケーションなどによって構築されていきます。
ご紹介した日本企業の施策や戦略を活かして、アメリカで成功を収める日本企業へと成長しましょう。
アメリカ事業の立ち上げやリソース課題などでお困りの方はお気軽にご相談ください。
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