アメリカで小売業を営む場合の返品事情と対策とは?

日本企業がアメリカで小売業を運営する場合、注意しておきたいことがアメリカの返品文化です。アメリカでは日本に比べはるかに返品が行いやすいようになっており、不良品・欠陥品などのような決定的な理由がなくても気軽に商品を返品することが可能となります。

アメリカと日本では返品に対する考え方が異なるということを、しっかりと理解していないとカスタマーに対して適切な対応が行えず、会社の信頼損失やブランド・商品への不満が生まれカスタマーを取りこぼしてしまうリスクがあります。

この記事では、アメリカでのリテール業界の返品事情やその対策について、日本企業が知っておくべき項目をご紹介します。

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アメリカのリテール業界の返品事情

アメリカのリテール業界では、商材が返品されるということを前提としてビジネスが行われています。

日本の場合、商品不良や誤発送など店舗側に問題がある場合のみ返品が可能だったり、サイズ変更などの商品交換が行われたり、何らかの特別な理由があった場合のみ、返品・交換を承る場合がほとんどかと思います。

ですがアメリカの場合は商品の返品は日常茶飯事で、不良品などのような特別な理由がない場合でも気軽に商品を返品します。

また日本のように返品理由を詳しく問われることもほぼありません。仮に返品理由を問われた場合でも、単なるアンケートのような場合が多いのです。

アメリカでは簡単に返品を行え、実際に商品を返品するまでの流れも非常にスムーズでワンクリックで返品リクエスト、返送用の伝票発行などを行えるシステムが一般的となり、カスタマーも負担に感じることなく商品の返品作業が完了します。

また無料で返品が可能だったり、カスタマー側が送料の負担を行わないケースもよくあります。

さらにAmazon USWalmartなどの大手オンラインショッピングサイトでは、スーパーやホームセンターなどに設置された返品用のサービスカウンターに返品する商品を持ち込むと、その場で返品・返金が完了するシステムもあります。

アメリカで最も返品が多いとされているカテゴリは衣料品で、衣料品を返品したことのある人はカスタマー全体の88%にもなります。次いで靴が44%、エレクトロニクス(電化製品)類が43%で、約半分ほどのカスタマーがこれらのカテゴリの商品を返品したことがあると言われています。

またクリスマスを含むホリデーシーズンのプレゼントも返品される場合が多く、ホリデーギフトのうち約10%は店舗に返品されております。

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アメリカの消費者が返品する理由とその対策

アメリカでカスタマーが商品を返品する一般的な理由は次のとおりです。

  1. 商品のサイズや色が合わなかった
  2. 商品に破損または欠陥があった
  3. 商品説明と実物の商品が一致しなかった
  4. 手元に商品が到着まで時間を要し商品が必要ではなくなった

基本的に日本とアメリカで商品を返品する理由にそれほど大差はありません。ですが、アメリカは商品を返品するということに寛大な国なので、これらに該当する場合、日本よりもはるかに多くの商品が返品される結果となります。

ではアメリカでリテール事業を営む場合、どのような対策を行えば良いのでしょうか?

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返品ポリシーを設定

まずはアメリカのユーザー動向を理解したうえで、返品ポリシーを決定することが非常に重要です。類似ブランドや商品、競合他社の返品ポリシーを確認し、それと同様または優れた返品ポリシーにすると良いでしょう。

ここで注意したいのは、あまりに返品ポリシーを厳しい条件にしてしまうと購入の際の離脱にもつながってしまうため、自社ECにおいては30-day ReturnやFree Shipping Label for Returnなど一般的な条件にするのが好ましいでしょう。

物流やカスタマーサポートなどの改善

アメリカでは国土が非常に広いため商品配送にかなりの時間を要します。州により異なりはありますが、商品到着までに1〜2週間ほどの時間が必要な場合がほとんどなのです。

また配達員が商品を丁寧に扱わず投げ入れたり、乱暴に配達する可能性もあるので、梱包をしっかり行い商品の破損を未然に防ぎましょう。

カスタマーサポートの設置も重要です。返品を決めたカスタマーにとって、カスタマーサポートは重要なポジションで、返品慣れしているアメリカのカスタマーに対していかに簡単に、素早く返品・返金する方法をご案内できるかが大切です。

チャット機能などを活用して素早い返答を行なったり、間違いがない正しい英語での対応も必要となります。

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商品ページの改善

写真や動画が少ない場合、ユーザーの購買意欲が低下します。分かりやすい商品ページにするためには、細かなディテールの写真やイメージ画像などを追加し、写真や動画を見るだけでその商品のことが十分にユーザーに伝わるようにしましょう。

また自動翻訳機を利用するとカタコトな英語だったり不自然な言い回しになってしまうことも多いので、アメリカのユーザーが商品の説明文を読んだ時に、違和感なく読み進めていける英文で商品説明文を作成して下さい。

UGCやレビューを活用

実際に商品を購入・利用したカスタマーからの貴重な意見をWebサイトやSNSに反映させましょう。

何らかの理由で商品購入を迷っているユーザーが、UGCやレビューを見ることでブランドや商品への信頼や安心感を得ることができるため、商品購入へ繋がる確率が高くなります。

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正確で詳しい寸法を記載

衣類や靴など試着ができない商品の場合、商品サイズを正しく採寸したものを商品ページに記載しましょう。

誤ったサイズを記載した場合や詳しいサイズが記載されていない場合、返品に繋がるケースが非常に高くなってしまいます。

オンラインで買い物をする場合、商品ページに記載された寸法を基にユーザーは商品の購入決定を行うので、必ず正確かつ詳しいサイズの記載をしましょう。

さまざまな人種・体型のモデルを起用

アメリカには、さまざまな人種とさまざまな体型・体格の人々が暮らしています。

偏った人種や体型では、ユーザーは特定の人をターゲットとした商品と感じ取ってしまうため、自身がその対象でないと思った際、購入に至らないケースが多くあります。

衣類の着用シーンや、商品の使用イメージなどの写真を利用する際は、さまざまな人種、体型・体格のモデルを起用することが非常に大切だと言えます。

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適切なサイズの梱包資材を選択

販売する商品のサイズにあった梱包資材を選ぶことが重要となります。

アメリカでは配送時に商品を乱暴に扱われる場合が多々あり、商品が破損しないよう適切なサイズの梱包資材を選び、割れやすい商品や繊細な商品を販売する場合、緩衝材などを利用し配送時に商品が壊れないように気をつけましょう。

信頼できる宅配業者を選定

アメリカ国内発送、またはアメリカ以外の国に商品発送するために信頼できる宅配業者を選ぶ必要があります。

カスタマーの手元に早く商品を届けれるような配送業者を選択したり、配送保険に加入したりと、万が一トラブルがあった場合でも早急に解決できるような方法を選択しましょう。

オンラインアシスタント/Emily

ここまでアメリカの返品文化についてご紹介してきましたが、自社で返品対策を行なうことが難しいと感じたり、英語に不安がある場合や、人的リソース不足などの理由から、アメリカでの返品対策やECにおける規定づくりなどが難しい場合、オンラインアシスタントに返品の対策を含むEC運用の全般サポートを業務委託すると良いでしょう。

オンラインアシスタント/Emily.では、アメリカでのEC運営やマーケティング、カスタマーサポートなどさまざまな業務で経験豊富なアシスタントが所属しています。在籍しているアシスタントは、アメリカ在住の日米バイリンガルで、アメリカでのビジネスにも精通しています。

アメリカでリテール事業の改善や、部分的な短期プロジェクトからチームの一員としての長期的なサポートまで、オンラインアシスタント/Emily.ではフレキシブルなサポートを行なっております。

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まとめ

アメリカでは商品の返品が日常茶飯事だということを念頭に置き、返品文化を受け入れることや適切な対策を打つこともアメリカのリテール業界でビジネスを成功させるためのポイントとなります。

日本とアメリカの返品に対する考え方の違いに、はじめは戸惑うかもしれませんがカスタマーのニーズをしっかりと把握し対策を行なうことで、カスタマーからの信頼を獲得し、将来の売上を促進する機会へと繋げましょう。

アメリカでのリテールビジネスに不安がある場合、オンラインアシスタントなどに業務委託を行い、カスタマーがより安心してショッピングできるようなルーティーンを築きましょう。

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