アメリカの給与規定と税法は複雑で、企業が従業員に給与を支払う際には、連邦、州、および所在地の市や郡の規定を遵守する必要があります。たとえば、最低賃金、残業賃金、所得税の控除、社会保障税やメディケア税の控除などに加え、健康保険、退職金制度などの提供や、税法の変更に対する迅速な対応も求められます。
この記事では、アメリカでビジネスを行う日本企業が、アメリカの給与規定や最新の法規制に対応するための3つの給与計算ツール、Gusto、ADP、Paychexを中心に解説します。
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Gusto
概要
Gustoは、70万社以上のクライアントに利用されている給与計算および人事管理ツールです。2012年に設立され、スタートアップから中小企業まで幅広い企業にサービスを提供しています。Gustoは、給与計算だけでなく、福利厚生管理や従業員オンボーディング、勤怠管理などの機能も提供し、企業の人事業務を効率化してくれます。
機能、特徴
Gustoの主要な機能には、給与計算、自動税金申告、福利厚生管理、401(k)プランの提供、従業員オンボーディング、勤怠管理などがあります。特に、給与計算は使いやすく、税金申告や年末調整も自動化されています。さらに法規制の変更があった場合は、警告や通知を受け取ることができます。Gustoはモバイルアプリも提供しており、どこからでもアクセス可能です。
おすすめの企業
Gustoは特に中小企業やスタートアップにおすすめです。使いやすい画面操作や従業員向けレターのテンプレートが使えるため時間と労力の削減につながり、人事業務に慣れていない企業でも簡単に利用できます。また、コストパフォーマンスに優れているため、予算の限られた企業にも適しています。複雑な人事業務をシンプルにし、効率を高めたい企業にもおすすめです。
給与体系や人事・労務管理システムの整備は事業の基盤づくりにおいて欠かせない要素であり、給与計算システムの決定・導入は非常に重要なステップのひとつであると言えます。この記事では、アメリカのペイロール(給与計算・支払い)ソフトウェアとし[…]
ADP
概要
ADP(Automatic Data Processing)は、アメリカで最も歴史があり、信頼されている給与計算および人事管理ツールの一つです。1949年に設立され、世界中の何百万もの企業にサービスを提供しています。
機能、特徴
ADPの主要な機能には、給与計算、税務管理、福利厚生管理、労務管理、採用、パフォーマンス管理などがあります。ADPのシステムは、大企業のほか従業員が50人未満の企業、1000人未満の企業などその成長に合わせてカスタマイズやスケーリングが可能です。また、給与、税金などの問い合わせに対応してくれる24時間365日のカスタマーサポートを提供しており、緊急時にも迅速に対応してくれます。
おすすめの企業
ADPは、大企業から中小企業まで、さまざまな規模の企業に対応する総合的な人事ソリューションを提供していますが、大企業や複雑な人事業務を持つ企業に特におすすめです。また、アメリカの日本企業など国際的な展開を考えている企業にも適しており、多国籍企業の要件にも対応するソリューションを提供しています。信頼性の高い人事管理ツールを求める企業には最適です。
Paychex
概要
Paychexは、アメリカの中小企業向けに設計された給与計算および人事管理ツールです。1971年に設立され、現在では中小企業を中心に70万社以上のクライアントにサービスを提供しています。Paychexは、給与計算から福利厚生管理、HR管理まで、幅広いサービスを提供することで知られています。
機能、特徴
Paychexの主要な機能には、給与計算、税務管理、福利厚生管理、従業員オンボーディング、勤怠管理、退職金制度管理などがあります。特に、中小企業向けにカスタマイズされたプランが充実しており、企業の成長に応じて必要な機能を追加できます。さらに、24時間365日のカスタマーサポートチームがあり、企業のニーズに応じたサポートを提供します。モバイルアプリも提供しており、いつでもどこでもアクセスが可能です。
おすすめの企業
Paychexは、コストパフォーマンスに優れたプランと幅広い機能を提供しており、初めて給与計算ツールを導入する企業にも適しています。また、Paychexのプランは、個人事業主向け、従業員が20人未満の企業、50人未満の企業、50人以上の企業と成長に応じて細かくスケールアップできるため、長期的な利用を考える企業にも適しています。迅速で信頼性の高い給与計算と人事管理を求める中小企業に最適な選択肢です。
給与計算ツール比較
項目 | Gusto | ADP | Paychex |
概要 | Gustoは、2012年設立の給与計算および人事管理ツールで、中小企業やスタートアップに最適です。 | ADPは、1949年設立の歴史ある給与計算および人事管理ツールで、大企業にも対応可能です。 | Paychexは、1971年設立の中小企業向け給与計算および人事管理ツールです。 |
機能、特徴 | 給与計算、自動税金申告、福利厚生管理、401(k)プラン、従業員オンボーディング、勤怠管理など。メールやチャットなどのカスタマーサポート。 | 給与計算、税務管理、福利厚生管理、労務管理、採用、パフォーマンス管理など。24時間365日のカスタマーサポート。 | 給与計算、税務管理、福利厚生管理、従業員オンボーディング、勤怠管理、退職金制度管理など。24時間365日のカスタマーサポート。 |
おすすめ企業 | 中小企業やスタートアップ、特にコストパフォーマンスを重視する企業。 | 大企業や複雑な人事業務を持つ企業、多国籍企業。 | 中小企業や成長中の企業、特に柔軟なプランを求める企業。 |
アメリカの給与規定と税法への対応
連邦最低賃金は時間当たり$7.25ですが、州によっては倍以上の高い最低賃金が設定されている場合もあります。企業は従業員に対してこれらの最低賃金規定を遵守しなければなりません。また、残業賃金に関しては、40時間を超える労働に対しては1.5倍の賃金を支払う必要があります。
所得税については、連邦所得税、州所得税、地方所得税があり、従業員の給与から適切に源泉徴収し、税務当局に納付する必要があります。連邦所得税は、従業員が提出するW-4フォームに基づいて計算されます。各州および地方自治体も独自の税率や控除基準を持っているため、企業はこれらを正確に反映する必要があります。
さらに、社会保障税とメディケア税の控除も重要です。社会保障税、メディケア税は給与の一定割合が従業員から控除され、同額を雇用主も負担します。また、高額所得者には追加のメディケア税も課されます。
アメリカでの事業の立ち上げは、海外展開を望む企業にとって新たな成長の機会を切り開く大きなステップと言えます。ですが、海外事業の立ち上げは未知の税制度や各州独自の規制・難題に直面することも多く、経営者や担当者にとって悩みどころといえる[…]
オンラインアシスタント/Emily.
オンライン・アシスタントEmily.を展開する弊社COEL では、今回ご紹介した給与計算ツールの一つ、Gustoを使用しており、アメリカで事業展開する日系企業にお勧めできます。
バックオフィス部門の業務負荷を改善されたい場合は、オンラインアシスタントへ業務委託が可能です。オンラインアシスタント/Emily.はアメリカ進出する際のパートナーとして日本企業のサポートを行なっていますので、お気軽にお問い合わせください。
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まとめ
この記事では、アメリカで一般的に使用されていて定評のある3つの給与計算ツールについてご紹介しました。
アメリカの給与規定と税法に適切に対応するためには、専門家に相談したり、専門の給与計算ツールを活用し、正確かつ効率的に管理することが推奨されます。オンラインアシスタントなども活用しながら法令遵守を確実にし、罰則やペナルティのリスクを軽減してビジネスを成功に導きましょう。
アメリカ事業の立ち上げやリソース課題などでお困りの方はお気軽にご相談ください。
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