【企業インタビュー】日本とアメリカの人事の違いを徹底解説|Triup, Inc.

今回はアメリカでHR支援事業を行なうTriup, Inc. /川崎様にインタビューし、アメリカと日本における人事の違い、アメリカに進出する日本企業が注意すべきポイント、駐在員としてアメリカで成功するためのアドバイス、アメリカ現地でビジネスを進めるにあたって大事なことについて詳しく伺いました。

人事・採用に関してはどの企業にも関連する分野です。アメリカですでに事業展開されている方だけでなく、アメリカ進出をこれからお考えの方にもぜひ参考にして頂ければと思います。

オンラインアシスタント/Emilyではアメリカ事業に欠かせない業務を幅広くサポートしています。
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アメリカ人事に欠かせないパートナーTriup社の事業について

Triup社が提供しているサービスについてお聞かせ下さい。

大きく分けると、リクルーティングと言われる人材紹介と、人事全般のサポートを行なうアウトソーシングを中心とした2つのサービスを提供しています。

リクルーティングと人事サポートで業務内容は大きく異なりますが、リクルーティングに関してはアメリカで事業を行なう企業が求める人材を弊社がその条件に見合う人材を探し出し、面接〜入社までをサポートする事業です。

業界や時代で求められる人材が変化することもありますが、今までの流れからみるとアメリカにおいて常に需要のある職種は、営業やマーケティング周りのポジションではないのかなと感じます。

弊社の場合、単発系のお仕事や倉庫といった現場仕事のポジション向けでは紹介を行なっていませんが、オフィスワーク、営業、マーケティングのみではなく、会計やエンジニア、ITなど、一般的なオフィス業務に関連する職種であればご紹介可能となります。

2つ目の人事サポートに関しては、実績としては中小企業や大手企業の支店、米国へ進出して間もない企業への支援機会が多く、現地の人事マネージャーが不在で駐在員が全てをこなす状況にある企業などの様々な人事関連業務・プロジェクトを幅広くサポートしています。

具体的な支援内容としては、従業員ハンドブックや各種人事ポリシーの新規作成や見直し、人事に関する法律についてのご質問や、問題を抱える社員についてのご相談にお答えすることが多いですね。

また新型コロナウィルス(以下、コロナ)の影響からリモートワークが増えてきた際には、リモートワーク規定を作成したり、評価制度や報酬制度の見直しなども増えています。

採用時だけではなく、逆に人材を解雇するためのサポートを行なうこともあるため、入社してから退社するまでの一連の流れで発生する全ての業務が人事サポートの対応範囲になります。

特に問い合わせ・需要の多いサービスはありますか?

コロナ時期も明けたことにより、またアメリカ進出する日本企業も増えてきて、アメリカ市場に興味を持たれている日本企業が増えてきてると感じています。その中でやはり人事・採用全般におけるアウトソースのお問い合わせが多いですね。

アメリカで人材を一人雇うためには、非常にコストが高くなります。

もし人事のマネージャーレベルの人材を一人雇おうと思っても、コストは十万ドル以上は確実に超えますし(州や地域にもよる)、マネージャーではなく事務員やバックオフィス関連などの人材と2人体制のオフィスにしようとするとコストはさらに高いものとなります。

さらに雇用した人が退職するとなると、給与などの個人情報が外部に流出しないように管理する必要もあります。

そうした面を考慮し、人事をアウトソースしたいというお問い合わせが非常に多く、人事全般のサポート依頼が増えてきてると感じています。

Triup社が実現したいことや、会社のミッションなどはありますか?

「誰でもいいからとにかく人材を欲しいだけ」というような企業様とはお付き合いが難しくなります。

弊社 Triup は、人材と企業を繋ぎ、またより良い人的ビジネス環境をサポートすることをミッションとしています。人事という業界は当然知識や経験も必要ですが、仕事をするにあたって人への配慮が非常に重要です。

そのため人材を大切に考えている企業とパートナーとして寄り添ったサポートをしていきたいと思っているので、この部分のビジネスについてはじっくり大切に育てたいという気持ちが強いです。人事の質をより高めて、弊社のビジネス拠点であるカリフォルニア・ロサンゼルスで「人事サポートと言えばTriup」と名前が出るような企業に今後していきたいと思っています。

社名「Triup」には、3 つの”up”が込められており、それぞれに意味があります。

まず一つ目は【Link-up】、これは「人と企業」、「アメリカと日本」を繋ぐという意味です。

二つ目は【Work-up】、企業とパートナーとして一緒にビジネス・会社を作っていくことを表しています。

最後の【Build-up】は、キャリアやビジネスを創るお手伝いをするという意味が込められています。

アメリカにおけるHRについて

アメリカでビジネスを行う日本企業によくあるHRの課題とはどのようなものでしょうか?

アメリカでビジネスを行う日本企業における HR の課題は、やはり文化的・法的な違いに起因することが多いですね。

日本企業では、駐在員の方がアメリカのトップに就任し、同時に人事の責任者になるケースがアメリカの法律や人事制度に詳しくない事が多く、現地 HR の複雑さに苦労されることが少なくありません。

言語の壁だけでなく、アメリカ特有の人事ルールや法律に不慣れなことで、時には大きなトラブルに発展してしまう事もありますね。よくあるのが、どうしても「日本ではこうだ」という発想に陥りがちですが、ここはアメリカであるという基本的な部分を常に忘れず、アメリカにおけるルールや慣習を理解しようとする姿勢が非常に大事だと思います。

特に重要なのは「今後、何かトラブルが起きた時に非常に大きくなる問題」と「今は急いで解決しないでいい問題」を事前に見極め、トラブルになる前に対応することです。そうした状況でこそ、専門的なサポートを上手に活用して頂きたいですね。

日本とアメリカで人事における大きな違いはありますか?

まず、日本では年功序列や終身雇用の文化が強い一方で、アメリカでは成果主義が重視されています。

また、アメリカでは連邦、州、都市ごとに法律が異なり、さらにその法律施行や改正のスピードが非常に早い点も特徴的です。この法的な変化は、日常的にトラッキングするのが難しいという特徴があります。現地の弁護士や専門家をうまく活用することが重要です。

解雇に関しても、日本では法的に解雇が難しく慎重に手続きを進める必要がありますが、アメリカでは「随意雇用」(At-will Employment)のため、比較的柔軟に雇用を終了することができます。ただし、これもまた日米の違いとしてありますが、すぐに訴訟に発展しやすいのがアメリカの特徴でもありますので、差別的な理由での解雇と受け取られないよう注意が必要です。

アメリカの人事における最新情報や日本企業が参考にすべき施策はありますか?

やはりハイブリッドワークといった新しい働き方が挙げられます。

特に Z 世代の台頭により、従来とは異なる価値観を持つ人が増え、企業は働き方の見直しを迫られる場面が増えています。また、従業員が働いている会社に誇りを持てる環境づくりにも注目が集まっており、これに関連するセミナーや研修も活発に行われています。

コロナ禍以降、従業員の心身の健康を重視した「ウェルビーイング(Well-Being)」の取り組みが急速に広がり、特にメンタルヘルスへの関心が高まっています。多くの企業が、ストレス管理プログラムや定期的な運動目標を達成した従業員に対するリワード制度など、メンタルヘルスに配慮した施策を取り入れていますね。

さらに、AI の活用も人事の分野で注目されています。従業員のエンゲージメントの測定やリクルーティングの自動化が進んでおり、初回の面接を AI に任せるといった事例も増えています。ただし、AI にはバイアスが入り込む可能性があるため、その学習方法が重要な課題となっていますので、導入には慎重な検討が必要だと思います。

アメリカと日本における人材育成について違いはありますか?

まず、日本では従業員がマネジメント研修を受ける機会が限られていることが多い印象です。特に新しいマネージャーや駐在員として派遣される社員の場合、日本では部下を持つ経験がなかったにもかかわらず、アメリカでいきなり部下を持つ立場になることがよくあります。このようなケースでは、言語の壁や文化的な違いに加え、マネジメントスキルの不足も大きな課題となります。

一方で、アメリカの人材育成はより個別化されていて、新入社員向けの一律の研修プログラムは少ない傾向にあります。新入社員が社会人としての基礎を学ぶ機会が日本に比べて少なく、現場に出た段階で自らスキルを身につけていくことが期待されることが多いです。

日本企業のアメリカ進出について

駐在員を派遣する日本企業に向けたアドバイスはありますか?

駐在員がいる企業の場合、その駐在員やご家族の方々が当然ですがまずはアメリカでの生活を早い段階で落ち着かせる必要があります。

大手企業のようにアメリカ現地に人事部があり、いつも現地生活をサポートしてくれる方がいれば良いですが、交代で駐在派遣されている企業の場合、前任者に不明点を聞くしか方法がないケースもあります。

このような状況では企業側からのアメリカ現地の生活面のサポートが受けられず、アメリカに赴任したものの生活が円滑に進まない可能性もありますので、まずは駐在員やその家族が快適に生活できるよう、住宅、医療、教育などの生活面にも配慮したサポートを提供することが大事だと思います。このような状況を回避するために、弊社ではアメリカ生活で最低限必要な病院や車、買い物などについての情報を含んだ赴任者研修を提供しています。

また駐在員はしばしば、現地の社員と日本本社の期待や要望の間で板挟みになることがあります。このような状況を避けるためには、本社が現地の状況をしっかり理解し、現地の実情に合わせた柔軟な対応を取ることが重要かと思います。

近年、日本企業のアメリカ進出の傾向の変化はありましたか?

コロナ禍で、日系企業のアメリカ進出は少し落ち着いていましたが、やはり市場規模の大きなアメリカでのビジネスに目を向けてチャレンジしている企業がまた増えてきています。製造業や自動車産業といった従来の業界だけでなく、IT、サービス、エンターテイメント、バイオテクノロジーなど新興産業に広がりつつあります。

特に、アメリカのデジタルエコノミーに対応した企業の進出が増えているかと思います。また、進出の形態としては、現地法人の設立やジョイントベンチャーが主流だった時期から、近年では M&A(買収)を通じたアメリカ市場へのアクセスが増加しており、これにより迅速にアメリカの市場や顧客基盤、技術力を獲得できる戦略が取られています。

以前までは日本企業がアメリカでオフィスを構える場合、カリフォルニア州や NY 州が多かったですが、最近では中西部や、テキサス州など、業種によっても進出場所が変化してきています。

北米進出を計画する際に必ず抑えておきたい人事・労務関連に関してお聞かせ下さい。

駐在員にはある程度の英語力や、現地文化への適応力が必要です。現地に馴染めなかったり、語学力(コミュニケーション力と言った方が良いかもしれません)が不足していると、現地での活動にかなり制限がかかります。

また、アメリカでの採用には、現地の給与水準や福利厚生を考慮することが不可欠です。日本基準では良い人材を確保しづらいため、各予算をアメリカ市場に合わせることが大切だと思います。アメリカでビジネスを展開する際には、現地の企業と同等の必要経費をしっかり確保することが求められますので、十分なコスト計画を立てた上で進出されると良いでしょう。

さらに、アメリカ市場での競争相手は日系企業ではなく現地企業です。アメリカでのビジネス展開の目的をしっかりと見据え、人事や採用面でも現地の市場に対する理解を深めて挑戦していただければと思います。

インタビューを終えて

オンラインアシスタント/Emily. (COEL, INC.代表) 松尾のコメント

COELでも事業拡大に伴い全米での採用を進めているため、人事におけるトラブル防止やアメリカで通用する企業を目指すためにもTriupさんに人事サポートをお願いしています。また、オンラインアシスタントで幅広い分野の日系企業をサポートしていますが、人事・採用の悩みはどの企業にも付きものです。

人事・採用における課題をお持ちの企業様は川崎さんにご相談頂くか、オンラインアシスタント/Emily.のサポートと組み合わせて、Triupさんのご提供する人事サポートを併せてご案内もしていますのでお気軽にご相談ください。

この度は川崎様、インタビューにご協力頂きましてありがとうございました。

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