アメリカを拠点とする日本企業がEC事業を始めるにあたっては、いくつかの方法があります。中でも、Amazon USでの販売はぜひ検討したい重要な選択肢です。
今回の記事では、Amazon USについての基礎知識から販売開始に向けての手順まで、事前に知っておきたい基本的なポイントをまとめて紹介します!
アメリカでのEC事業にAmazon USを選ぶ理由
アメリカでEC事業を始めるには、大きく分けて2種類の方法があります。
自社ECサイトを構築する方法と、Amazonなど既存のプラットフォームで商品を販売する方法です。
手間と費用のかかるECサイト構築に比べ、プラットフォーム利用は手軽であり、お試し感覚で販売を始めることができます。
また、トラフィックが自社サイトよりも圧倒的に多いため、まだアメリカでの知名度が低いブランドにとっては特に大きなメリットがあります。
数あるECプラットフォームの中でも、Amazon USはアメリカで消費者に最も人気があります。
2020年6月時点で、Amazonの有料会員であるプライムメンバーはアメリカ国内だけで1億1200万人と推測されていました。
(データ引用元:https://www.statista.com/statistics/546894/number-of-amazon-prime-paying-members/)
また、Amazon USでは多数のセラーが活躍しています。
2020年の第二四半期には、Amazon USで販売されている商品の53%がサードパーティーセラーによるものでした。
サードパーティーセラーによる売上の伸び率も高く、Amazon USではセラー支援に力を入れています。
(データ引用元:https://www.statista.com/statistics/259782/third-party-seller-share-of-amazon-platform/)
以上のような理由から、在米の日系企業がアメリカでのEC事業を始める際、Amazon USは最適な選択肢の一つといえます。
まず知っておきたいAmazon USの基本
Amazon USのセラーは、販売に関わるさまざまな費用をAmazonに支払う代わりに、Amazonの販売管理ツールや配送インフラなどを利用できます。
少し具体的に見ていきましょう。
Amazon USでの販売にかかる費用
Amazonで商品を売るための費用には、いくつかの種類とパターンがあります。
たとえば、セラーアカウントの保持には「月間登録料」または「基本成約料」が必要です。
「大口出品(Professional)」「小口出品(Individual)」という2種類の販売プランのうちどちらを選ぶかによって、これらの料金は異なります。
「販売手数料」は、販売する商品のジャンルごとにパーセンテージが定められています。
たとえば、パソコン・周辺機器は販売額の8%、おもちゃ・ホビーは10%です。
その他、「返金手数料」や「FBA手数料」などがあります。
Amazonで販売する際には、これらの料金が発生することを見越したうえで商品の値付けをすることが大切です。
Amazonセラーセントラルとは?
Amazonセラーとして登録すると、「セラーセントラル(Seller Central)」にアカウントを持つことができます。
セラーセントラルとは、Amazonでの販売に便利な機能を備えたポータルサイトのようなものです。
セラーセントラルでは、商品情報をアップしたり、在庫や支払いを管理したり、販売アカウントの業績を確認したりと、Amazonでのビジネスに必要な業務をスムーズにこなすことができます。
便利な商品発送オプション「FBA」
Amazon USで販売した商品は、自分で顧客に発送するか、FBA(Fulfilment by Amazon)というAmazon独自の配送サービスを利用して発送することになります。
FBAを利用する場合、セラーは事前に商品をAmazon倉庫に送付しておき、注文が入るとAmazonが梱包やラベリング、発送作業を行なってくれます。
面倒な返品対応もAmazonに任せることができ、手間が省けます。
加えて、Amazon Primeメンバーに短期間で商品を配送できるようになり、より多くの売上が期待できます。
ただし、FBA利用には手数料がかかります。
どれぐらいコストがかかるかを事前にきちんと計算して配送方法を選択する必要があります。
Amazon USで売れ行き良好な商品は?
Amazonで商品がよく売れるジャンルは、電化製品、おもちゃ&ホビー、カメラなど多数あります。
価格帯としては10ドルから50ドル、高くても100ドル以下の商品がベストです。
また、一般的に日本製の商品は人気があるといえます。
Keepaなどのサービスを利用すると、Amazonのベストセラーランキングを追跡して売れ筋を知ることができます。
ただし、人気のあるジャンルや商品にはセラーが集中しやすく、価格競争も起こりやすくなります。
需要があり、競争相手の少ないニッチを見つけることが非常に重要です。
ニッチを探り、利益の出やすい商品を見つけるには、Helium 10などのツールが有効です。
アメリカAmazonでの商品販売には大きなポテンシャルがありますが、膨大な数のライバルとの競争に勝つには地道で骨の折れる努力が必要です。 そこで役に立つのが、強力なAmazon店舗運営支援ツールの「Helium 10」です。 労力を[…]
Amazon USで販売を始める手順
在米の日系企業がAmazon USで商品を販売するには、具体的にどうすればいいのでしょうか。
大きく分けると「アカウント登録」「商品の出品」という2ステップがあります。
まずはセラーアカウントを登録しよう
Amazon USでの販売を始めるには、まずセラーアカウントを登録します。
セラーアカウント登録の流れは下記の通りです。
手元に用意するもの
- 会社の住所、連絡先
- 電話番号(携帯電話または固定電話)
- 支払い可能なクレジットカード
- 納税者情報(Tax ID)
- 政府機関発行のID(パスポート、運転免許証、グリーンカードなど)
- 銀行口座またはクレジットカードの明細書
セラーアカウント設定の手順
1. 販売プランの選択
「小口出品」と「大口出品」の2種類から販売プランを選びます。
プランによって料金体系や利用できる機能が異なります。
月に40点以上の商品の販売を見込む場合、大口出品がおすすめです。
2. 新規Amazonアカウントを作る
Eメールアドレスを入力してアカウントを作成します。
3. 会社情報の登録
会社名、会社の所在地、会社のタイプ、連絡先を入力します。
4. 個人情報の登録
フルネームなどの基本的な個人情報に加え、パスポートなどのID番号を入力します。
5. 支払い情報の登録
売上の振込先となる銀行口座の情報と、支払い可能なクレジットカード情報を入力します。
6. 納税者情報の登録
納税者IDを入力します。会社所在地の州の納税者IDも必要です。
7. Amazonストア情報と商品情報の登録
Amazonストアについての情報(ストア名など)と、販売する商品についての情報(ジャンルなど)を登録します。
8. 個人情報の認証
個人情報の認証のため、パスポートなどのID、と銀行口座またはクレジットカードの明細書の画像をアップロードします。
完了後、Amazonがセラーアカウントを認証します。
9. 認証コードの入力
Amazonがアカウントを認証し、登録した住所宛に認証コードの記載された葉書を送付します。
この認証コードをセラーアカウント登録ページに入力して、アカウント登録は完了です。
Amazon USに出品するには
アカウントの準備が完了したら、いよいよ商品を出品できます。
Amazon USでまだ売られていない商品を販売する場合、出品情報を登録します。
顧客が商品を見つけやすく、商品を魅力的だと感じるように、しっかりと商品ページを作り込むことが大切です。
すでにその商品が出品されている場合は、出品情報の新規登録は不要です。
出品に必要なものは下記のとおりです。
1. 製品コード
UPC、ISBN、EANなどの製品コード(GTIN)を入力します。
Amazon USに未登録の商品の場合は、製品コードを購入するか、免除を申請する必要があります。
2. 商品情報、説明
商品ページの構成に必要な情報を登録します。下記項目の入力が必要です。
- SKU(商品を識別するための固有コード。出品者が設定できる)
- 商品名
- 商品画像
- 商品の仕様(特徴を短い箇条書きで)
- 商品説明
商品名や商品仕様、商品説明には関連性の高い適切なキーワードを盛り込むことで、商品が見つけてもらいやすくなります。
アメリカへの越境ECで売上アップを目指す企業・ブランドにとって、Amazon USは最も手軽で大きなチャンスを得ることができる販売プラットフォームです。 ただし、商品出品には気をつけるべき点も多くあり、商品数が増えれば増えるほど、管理など[…]
まとめ
在米の日本企業がAmazon USでビジネスを始めるために知っておきたい基本的なポイントを紹介してきました。
小さく始めて成長させられるのがAmazonの魅力です。
まずはトライしてみましょう!
日本企業がアメリカでのEC事業を展開する上でまず候補になるAmazon US。気軽に始められ、大きなセールスにつながる可能性がありますが、その分競争も激しい環境です。数多くのベンダーがいる中で消費者の心をつかむには、何が必要なのでしょうか。[…]
2019年にアメリカ進出を果たした万田発酵株式会社。 その米国法人であるMANDA FERMENTATION USA, INC.をリードする中島康人氏(COO/President)にアメリカでの事業立ち上げ時のお話やオンラインアシスタ[…]