アメリカで事業を展開する日本企業にとって、経費精算の効率化やコンプライアンス強化は重要な課題です。特に、紙の領収書の管理や手作業による処理はミスや時間のロスを招きやすいため、クラウド型の経費精算システムを導入する企業が増えています。
この記事では、アメリカでの経費精算のフローや注意点について解説するとともに、アメリカで広く利用されている主要な経費精算システムなどをご紹介します。
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アメリカ企業がよく使う経費精算システムの紹介
Expensify
Expensifyは、スマホアプリでのレシートスキャン機能を備え、AIによる自動経費分類が可能なシステムです。小規模企業やフリーランスにも人気があり、手軽に経費精算をデジタル化できます。
アメリカ市場でビジネスを展開する場合、現地のルールに合わせた経費管理が必須となります。ですが経費管理は非常に複雑で時間を費やすタスクとなり、ミスやトラブルが発生しやすい業務であると言えます。少人数体制のチームで膨大な業務をこ[…]
SAP Concur
SAP Concurは、大企業向けの経費精算システムで、複雑な承認フローや詳細な監査機能を備えています。経費精算の一部を自動化でき、たとえば、特定の金額を超えた経費や特定の種類の経費が含まれている場合に、自動でチェックが入るよう設定できるため、不正やミスを防ぎながら、スムーズに経費精算が行えます。
QuickBooks
Quickbooksは、中小企業向けの会計ソフトとして有名で、経費精算機能も搭載されています。QuickBooksの会計データと統合できるため、財務管理を一括して行いたい企業におすすめです。
アメリカでビジネスを展開するうえで、アメリカの複雑な会計規則や税制に関する理解がアメリカでの成功への鍵となります。QuickBooks Online(クイックブックス・オンライン)は、財務諸表の作成や請求書の発行などが簡単にできるク[…]
Rydoo
Rydooは、出張管理機能を備えたクラウド型経費精算システムで、経費精算と出張手配を一元管理できます。特に海外出張の多い企業に適しています。
経費精算のワークフローと承認プロセスの違い
一般的なアメリカ企業の経費精算フロー
- 経費の発生
- 経費精算システムにデータを入力
- 承認フロー
- 承認後の払い戻し
経費は個人で立て替える場合と、企業のクレジットカードを利用する場合があります。レシートをスマホアプリなどで撮影・アップロードし、経費精算システムなどによって経費が自動分類されます。経費申請は直属のマネージャーや経理担当者が確認し、システム上で承認されます。
個人立替の場合、給与振込と一緒に支払われるか、別途銀行に送金されます。もしくは、払い戻し用の小切手が個別に発行されることもあります。企業カード利用分は経理処理されるのみで、従業員への払い戻しは不要です。
日本企業との違い
日本企業では、経費申請後に部門長、経理担当者、役員など複数の段階を経て最終的な承認が得られるため、振込までに時間がかかる傾向があります。以前は、紙の領収書の提出・保管が必須でしたが、2025年の電子帳簿保存法改正などにより、デジタル領収書の活用も拡大しています。
一方、アメリカではクラウド型経費精算システムの普及により、申請から承認、払い戻しまでオンラインで完結しやすい点が大きな違いといえます。
IRS監査に備えた経費精算のポイント
経費の正当性を証明するための記録管理
- レシートや請求書の電子保存
- 取引先や用途を明確に記録
- 経費ポリシーの明確化と従業員への周知
IRSの監査に備えるためには、経費の正当性を示す記録を適切に管理することが重要です。まず、レシートや請求書は電子データで保存し、クラウド型経費精算システムを活用することで管理を簡素化できます。また、取引先や用途を明確にするためのメモを残すことも推奨されます。例えば、会食費の申請時には「Dinner」ではなく「○○社との打ち合わせ」と具体的に記録するとよいでしょう。さらに、経費ポリシーを明確に定め、従業員に周知することで、不適切な経費申請を未然に防ぐことができます。
監査対象になりやすいケース
IRSの監査では、不透明な経費処理が指摘されることが多く、特に以下のケースが注意を要します。
- 経費の用途が不明確
- 領収書の未提出
- プライベートな経費との混同
経費の用途が不明確な場合、監査リスクが高まります。領収書の未提出は特に$75以上の経費で問題視されるため、紛失を防ぎ、確実に保管することが重要です。またプライベートな利用との混同があると、経費として認められない可能性があるため、業務用と個人用のカードを分けて使用することなどが推奨されます。
経費精算に関するコンプライアンスと法律リスク
経費の不正利用が発覚した場合の対応
経費精算のルールを誤って適用した場合や、領収書の提出漏れなどの軽微な違反については、注意喚起や再教育によって是正を図るのが一般的です。
例えば、架空の領収書を提出する、私的な支出を業務経費として申請するなど、意図的な不正が判明した場合は、不正金額の返金要求や懲戒処分が検討されます。企業の規程に従い、減給や降格処分が適用されることもあります。
大規模な横領や組織的な経費不正が発覚した場合は、法的措置を検討する必要があります。特に、経費を利用した贈収賄などの疑いがある場合は、社内調査に加えて、外部監査や法務部門と連携した対応が求められます。
FCPA(海外腐敗行為防止法)などの法律リスク
アメリカでは、企業の経費精算がFCPA(海外腐敗行為防止法)などの法規制に違反しないよう厳しく管理されています。
FCPAでは、外国政府の関係者への贈答や接待が賄賂と見なされるリスクがあるため、特に注意が必要です。企業は、適切な記録を保持し、正当なビジネス目的があることを明確にする必要があります。
経費の適正管理には、企業全体のコンプライアンス体制の強化が不可欠です。経費ルールを明確にし、従業員向けの研修や監査体制を整えることで、不正リスクを未然に防ぐことが求められます。
アメリカに進出する日本企業にとって、アメリカの適切な経費精算のルールを理解することは、税務コンプライアンスの観点から重要です。特に、IRS(米国国税庁)が定める経費の定義や原則を把握し、適正な経費管理を行うことが求められます。事業に[…]
オンラインアシスタント/Emily.
オンラインアシスタント/Emily.では、日本語と英語のバイリンガルが揃っており、データ入力や経費精算、インボイスの発行や処理などの経理のルーティン業務も日本語と英語の両方で対応できます。
また、適切なツールの導入サポートも行っており、例えば「QuickBooks Online」や、経費管理を効率化するようなツールを導入することで、業務プロセスの効率化やコスト削減が可能となります。
オンラインアシスタント/Emily.に業務を委託することで、言語的なスキルやアメリカのビジネス文化に精通したスキルに加え、労力の節約や業務効率化の面でも多大なメリットがあります。
まとめ
この記事では、アメリカでの経費精算のフローや注意点についてご紹介しました。アメリカの経費精算のワークフローはシンプルかつデジタル化されているのが特徴です。また、注意点やポイントを徹底することで、IRSの監査のリスクを軽減できます。
経費精算システムを活用することで、経費処理の負担を軽減し予算超過を回避したり、コンプライアンスを強化することが可能です。自社の業務に合ったフローやシステムを導入し、アメリカのビジネスを成功へと導きましょう!
※本記事の内容は一般的な情報提供を目的としたものであり、税務に関する詳細な判断や対応については専門家の助言を受けることをおすすめします。具体的な税務処理や申告に関しては、税理士などの専門家もしくは弊社までご相談ください。
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