海外市場への展開を検討する日本企業にとって、アメリカ進出は広大な市場への参入を意味し、多様性に富んだ顧客層にアプローチできる成長機会だと言えます。
新たな市場や独自のビジネス文化、法的な枠組みへ適応し、さらに事業拡大をはかるためには堅実なファイナンスと財務管理が不可欠です。
この記事では、アメリカ進出を控える日本企業に向けて、ファイナンスに関する基礎ポイントをご紹介します。
アメリカでビジネスを行う日本企業の経理部門は、少人数のチームも多いことから、従業員に負担がかかりやすい現状がよくあります。さまざまな締め切りに追われながらも、スムーズに業務を回すためには、幅広い業務を効率的に進めることが大切です。こ[…]
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税制と会計士選択
アメリカの税制は連邦、州、地方(群や市)という複数の層があり、それぞれ異なるルールに従い納税する必要があります。
事業形態によっても適用される納税ルールが異なり、事業運営に大きな影響を及ぼします。法改正による税制上の大きな変更はもとより、年単位でIRS(内国歳入庁)、各州からのガイドラインが変更になることもあります。
一方、日米間では2019年に改正された租税条約に基づく軽減税率が存在します。
税制上の恩恵を受けるためにも、リソースを効果的に活用することが重要です。最新の税制を把握し、納税手続きを行い、健全な財務基盤を築いていくのはもちろんのこと、さらに企業価値を高めていくという狙いを持ち、会計事務所や専門家の指導を仰ぐことは必須です。
とりわけ、アメリカ市場に進出後、手探りの中、事業を遂行する経営者にとって、税務対応依頼だけにとどまらず、タックスプラニングや財務戦略を立案する際のパートナー、アドバイザーを探すことはグローバルな競争での生き残りを左右します。
また、アメリカにおいて日本の事情にも明るい会計士の存在は強い味方であると言えるでしょう。
連携がとりやすく、的確な考察を提供してくれる会計事務所、会計士を選択することはその後の事業発展において大切です。
会計基準
アメリカでは、米国証券取引委員会が発行した会計基準があり、US. GAAP(米国会計基準)と呼ばれています。
GAAPとはGenerally Accepted Accounting Principles(一般的に公正妥当と認められている会計原則・概念)の略称で、「会計処理や財務諸表を作成する際に従わなければならない基準」を指します。
アメリカでの事業においては、US. GAAPを順守することで正確な財務報告と透明性が保たれ、投資家や顧客からの信頼性維持において必要不可欠といえます。
一方で、世界共通の報告基準を目指し作成されたIFRS(International Financial Reporting Standards、国際会計基準)があります。
国境を越えたビジネス・投資活動が活性化する中で、異なる基準で作成された財務諸表では比較検討できない、という弊害がありました。基準を統一化し、比較可能性を高める需要が高まり誕生しました。
2005年にEUが域内上場企業に対して採用を義務付けし、それ以降各国でIFRSの採用が進み、現在90の国、地域でIFRSが完全採用されています。
アメリカでは自国基準を保持しつつ、IFRSとの差異を縮小する動きがあるものの、時間を要しています。US. SEC(Securities and Exchange Commission、米国証券取引委員会)はIFRSとの統一の方向性を支持していたものの具体的な動きは進んでいません。
このような背景から、アメリカで事業展開している在米・日系企業は、US. GAAP、IFRS、さらにJ GAAP(日本会計基準)という異なる財務諸表を目にすることがあると思います。
在米の日系会計事務所ではIFRS移行支援をサービスとして提供しているところや、複数の財務諸表を作成している事務所があるようです。
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コンプライアンス
米国連邦法、および州法上で規制対象になっている事項を見落としていたり、上述の会計基準に沿わない報告を行ったりすることで、思わぬ財務上の制裁が課される場合があります。
アメリカでは外国による投資を歓迎、奨励し、公平に扱う姿勢がある一方で、国家安全保障の観点から外資に対する独自の規制があります。
報告義務や記録保管義務を怠ってしまうことで、結果として企業の信用性にとって深刻なダメージとなってしまいます。
財務規制や要件に関して常に最新のものを把握すること、そのために専門家と緊密な連携をとることは大切です。
事業を成功へと導く予算整備
予算編成、財務計画策定は労力が要る作業であり、特にファイナンスが専門分野ではない担当者には大きなチャレンジとして感じられるのではないでしょうか。
また、株式マーケットの波及や社会情勢の変動に敏感で変化の早いアメリカ市場の場合、実行可能な予算を策定した後も適切なモニタリングを行い、優先事項を反映させる必要があります。
ファイナンシャル・プランに沿って経営を行うことは事業の安定をもたらし、投資や支出に関する意思決定において明確な指針となります。
また、予算策定の際、過去の会計データを検証することは、事業の改善点や方向性がはっきり見えてくる可能性を秘めています。過去の会計データがひとつのツールとして機能し、ビジネスの発展の局面で大きな判断基準になります。
当然のことながら、顧客からの支払いを確実に受け取り、売掛金回収までの日数を短縮させる手段を講じることや、継続的に発生している費用を見極めることでキャッシュフローの安定を目指すことは予算管理の観点からも重要なタスクと言えます。
また、収益処理や財務計画をソフトウェア使用により自動化し、日常的なマニュアル作業を効率化することは従業員の負担を軽減し、正確性、生産性の向上につながります。
アメリカでのビジネスを拡大するにあたり、必ず必要となるバックオフィス業務。経理や総務などの日本での経験があっても、慣習やルールの違いなどもありややこしい場合もあるでしょう。また、少ない人員で効率的・効果的に業務を回していくにあたって[…]
オンラインアシスタント/Emily.
財務関連の業務は幅広く、さらにアメリカ拠点においては、総務・経理部が経営者とともに財務・ファイナンス部門の役割を兼任していることが多いのではないでしょうか。
財務として独立した部署がなく兼任することが影響し、過剰タスクを日々こなす負担は重いものです。
オンラインアシスタント/Emily.では事業者や経営部門の担当者の方よりご相談をいただき、日米のビジネス慣習に精通したプロフェッショナル・アシスタントが完全リモートで日系企業のサポートを行なっています。
バックオフィス・サポートの役割をオンラインアシスタント/Emily.に委託することで、事業の継続的な成功に直結する仕事に取り組む余裕が生まれます。
アメリカで一般的になっているオンラインアシスタント(またはバーチャルアシスタント=Virtual Assistant)は、社内でこなすのが望ましくない業務を社外のプロフェッショナルにリモートで依頼できるサービスです。特に、日常業務に[…]
まとめ
財務管理は日本企業が多国籍企業として成功するための重要な要素であるため、積極的にアメリカで実績のある専門家にアドバイスを求めることをおすすめします。
また、事業戦略の構築や財務計画に継続的な取り組みを行うために、バックオフィスの役割をオンラインアシスタント/Emily.に外部委託することを検討してはいかがでしょうか。
アメリカ事業の立ち上げやリソースなどでお困りの方はお気軽にご相談ください。
企業活動を縁の下で支える部署としてバックオフィス業務は非常に重要となります。ですがバックオフィス業務ではコストなどの関係で、社内で部署を抱えることが難しい場合があります。特にアメリカでビジネスを運用している中小企業は、バックオフィス[…]
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