アメリカの消費者は、ブランドの背景や価値観に共感することで、そのブランドに対するロイヤルティを高める傾向があります。今やブランドストーリーは単なるマーケティング手法を超え、消費者との深いつながりを築くための重要な要素となっています。
この記事では、アメリカの消費者に響くブランドストーリーの伝え方について解説します。
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ブランドの価値観とミッション
アメリカ市場で成功するためには、ブランドの価値観とミッションを明確にすることが不可欠です。アメリカの消費者は、商品やサービスの質だけでなく、そのブランドがどんな理念を持っているか、また社会的な責任をどう果たしているかにも強く関心を持っています。特に近年では、環境問題や社会正義を意識する消費者が増えており、企業の信頼性や誠実さが問われる場面が多くなっています。
たとえば、アウトドアブランドのPatagoniaは1985年以降、自然環境の保護のために年間売り上げの1%を環境団体に寄付しています。また、創業者のYvon Chouinard氏が1% for the Planetという非営利法人を共同で設立し、他企業にもこの運動を呼びかけています。
このように、ブランドが自分たちの価値観やミッションに基づいて行動することで、消費者からの高い支持を得て、信頼されるブランドとして確立することができます。
消費者の心に響くストーリー
ブランドストーリーは、単に論理的な説明だけでは不十分で、消費者の感情に訴える要素が重要です。なぜなら、消費者は感情に基づいて意思決定を行うことが多いためです。ブランドとのつながりと購買意欲を高めるために、ブランドの背景や価値観を伝えることで、消費者の信頼や共感を呼ぶことにつながります。
例えば、靴のブランドのTOMSは創業者のBlake Mycoskie氏が2006年に「One for One®」モデルを導入し、販売された靴1足につき1足の靴を寄付する運動を始めました。現在では、利益の3分の1を慈善活動に寄付し、メンタルヘルスのサポートを含め、大規模な社会支援プログラムを展開しています。
顧客の声をストーリーに取り入れる
ブランドが成功するためには、実際の体験やフィードバックをストーリーに取り入れることも有効です。顧客の声を活用するメリットは、まず信頼性が向上する点です。企業が自分たちを称賛するのではなく、実際に利用した人々の経験を共有することで、顧客はそのブランドが本当に価値あるものだと感じやすくなります。また、共感を呼ぶことで、新たな顧客との関係構築が促進され、ブランドロイヤルティの向上にもつながります。
例えば、Airbnbはホストのストーリーを共有し、単なる宿泊サービスではなく、人と人をつなぐプラットフォームとしての価値を強調しています。このようにコミュニティをつくり、ストーリーを公開することで、ブランドの信頼性が増し、顧客が共感しやすくなります。
ブランドの本質を大切にする
アメリカの消費者は、ブランドのストーリーが裏表のない「本物」であることを求めています。よって企業が自分たちの価値観や使命を正直に伝え、それに基づいた行動を実践しているかが重視されます。誠実で、信頼できるブランドは、消費者との長期的な信頼関係を築くことができ、成功へとつながります。
例えば、アウトドアブランドのREIは、2015年から「Opt Outside」というキャンペーンを展開しています。ブラックフライデーに店舗を閉め、従業員や消費者に自然の中で過ごすことを推奨しています。利益を追求するのではなく、ブランドの使命である自然との調和を大切にする姿勢が、多くの消費者の共感を呼びました。
2022年以降はさらに徹底し、すべての店舗、配送センター、コール センター、本社は、毎年ブラック フライデーに休業することになりました。引き続きREIのウェブサイトで注文はできますが、注文の処理と履行は翌日まで開始されません。このように、ブランドの本質をしっかり伝え信頼を築くことによって、顧客からの長年の支持につながります。
一貫性のあるメッセージを維持する
ブランドが成功するためには、すべてのマーケティングチャネルで一貫性のあるメッセージを発信することが不可欠です。ブランドストーリーがソーシャルメディア、広告、ウェブサイト、さらには実店舗においても一貫していなければ、消費者に混乱や不信感を与える可能性があります。メッセージの一貫性を保ち、ブランドの信頼性を向上させるようにしましょう。
たとえば、Appleはその一貫性のあるメッセージで知られています。どの広告やウェブサイトを見ても、Appleは「革新性」「シンプル」「洗練されたデザイン」というメッセージを一貫して伝えています。製品だけでなく実店舗などにおける顧客体験など、消費者はどこにいてもAppleの世界観を感じることができます。
このように、ブランドメッセージをすべてのチャネルで一貫して伝えることは、消費者の記憶に残り、信頼と忠誠心を高めるために非常に重要です。一貫性のあるメッセージは、ブランドを強化するほか、競合他社との差別化にもつながります。
文化的な背景と多様性を反映する
アメリカは多様性に富んだ国であり、異なる文化的背景を持つ消費者にリーチするためには、多様性を反映したストーリーテリングを行うことが重要です。消費者が自分の価値観や文化に共感できるメッセージを受け取ることで、ブランドへの信頼と親近感が高まります。
Doveの「Care in Action」キャンペーンでは、社会的責任に対する取り組みを公開しています。たとえば、肌の色や髪型などを理由に差別されることのない社会を目指し、職場や学校での髪型に対する差別撤廃を目指す運動を展開しています。
女性向けには、あらゆる体型、年齢、性別に関係なく、自身の美しさを肯定できるようサポートしています。また、若い世代向けには、外見に対するプレッシャーから解放し、自分自身の価値を見つける教育プログラムなどがあります。さらに、初めての育児を経験する親が直面する心身の課題や、子育てをサポートするプログラムのほか、男性に対しても、伝統的な強さを強調するのではなく、感情を表現し、優しさや共感を持つ男性像をサポートする取り組みなどがあります。
これらのテーマは、Doveの社会的責任への強いコミットメントを示すものであり、多様性を尊重するブランドの姿勢を表しています。
オンラインアシスタント/Emily.
オンラインアシスタント/Emily.では、アメリカ在住の日米バイリンガルのアシスタントがブランディングやマーケティング、施策や戦略などのサポートを行います。
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まとめ
この記事では、アメリカの消費者に響くブランドストーリーについて、お伝えしました。ブランドの価値観やミッションに基づいた誠実な取り組みと、それをアメリカの消費者の心に響く形でストーリーを伝えていくことが重要です。
ストーリーにアメリカの文化的背景や多様性を反映したり、一貫性のあるメッセージなどを通じて、ブランドを強化し競合他社との差別化にもつなげていきましょう。
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