拡大を続けるアメリカのEC市場の中でも、本国のAmazon USはとりわけ巨大なマーケットプレイスです。
日本からも手軽に出品を行うことが可能なアメリカのAmazonで、成功に近づくために知っておきたい基礎知識をまとめました。
こちらの記事を参考にして頂き、アメリカでのEC販路拡大を目指しましょう!
アメリカのAmazonに出品するメリットとは?
日本のEC事業者がAmazon USにセラーとして出店するメリットはいくつかあります。
1.市場の規模が大きい
Amazon USのECでの売上は総額3760億ドルといわれており、2021年10月時点の予測で米国EC売上のおよそ50%を占めます。
月間ユニークビジター数は日本のAmazonの5.7倍以上となります。
アメリカに住んでいるユーザーはもちろん、カナダやメキシコなどに住んでいるユーザーも越境でアメリカのAmazonで商品を購入しているケースが多いため、他国からの購買者も引き寄せるアメリカのAmazonを上手く活用することにより、大幅な売上アップへと繋げるチャンスがあります。
(Statista: Projected retail e-commerce GMV share of Amazon in the United States from 2016 to 2021)
2.新規参入のハードルが低い
Amazonは国内での販売はもちろん、越境ECでの販売にも強力な後押しを行っており、出店のハードルは非常に低くなっています。
通常の越境ECでは、こまごまとした手間がかかりますが、Amazonグローバルセリングというサービスを使えば、簡単な登録手続きだけでアメリカを含む15カ国のAmazonで販売が可能となります。
日本のAmazonと販売と様式が似ているため、出品に際して戸惑うこともありません。
加えて、2020年からは日本語でのサポートサービスが始まりました。
3.配送の心配が不要
越境ECで気がかりなのが配送や倉庫、返品対応などのロジスティック関連です。
Amazonグローバルセリングで大口出品すると、FBA(Fulfillment by Amazon)というサービスを使用することが可能です。
FBAでは、出店者は商品をまとめてアメリカ現地のAmazon倉庫に発送します。
注文が入るとAmazon USがパッキングや発送を行い、さらには返品対応やカスタマーサービスも行ってくれます。
非常に便利なサービスですが、FBA利用の際には手数料が発生することを忘れないでおきましょう。
FBA利用の手数料を節約したい・避けたい場合は、出品者が購入者へ直接商品を発送する手段を取りましょう。
※オーダー後に越境配送するときの注意点
一点気をつけたいことは、アメリカのAmazonで販売をする際に、基本的に越境配送(オーダー後に日本からアメリカに個別配送すること)は推奨しません。
なぜなら、オーダーをする時点で購入希望者はその商品がいつ届くのかを確認しています。
仮にオーダーを行う直前に、到着予定日が2週間や1ヶ月後といったように長期間を要してしまうと、ほとんどの場合で購入者の購買意欲がなくなるでしょう。
一つの裏付けとして、アメリカで大幅に増加している「Amazon Prime Member」の会員数が関係しています。
2021年6月末時点でアメリカのPrime Memberは1億5300万会員に達し、1年前の2020年6月末では1億2200万会員だったので、この1年間で25.4%も会員が増加したのです。
これはコロナ禍によって、実店舗での買い物がしづらくなった事も大きく関係していると考えられます。
そして、Prime Memberが得られる特典の一つに「1-2日以内の商品配送」があります。
アメリカは居住エリアが広大とはいえAmazonも全米に110拠点ものFBA倉庫を稼働させており、Prime Memberに対して配送サービスには特に力を入れています。
倉庫の数においては世界全体で185拠点と言われているので、倉庫数全体の6割がアメリカに集中しておりアメリカ向け設備投資の優先度が見て取れます。
それが故に、最短1日で商品が届く環境がアメリカでも当たり前になりつつある中で、アメリカのAmazonでの配送がたとえ越境だったとしても、2週間以上も商品到着を待つことに対して、ストレスを感じない人は稀だと言えます。
補足ではありますが、購入商品やECプラットフォームにより、消費者の感じ方は様々だと言えるので、全ての消費者がAmazonのような素早い配送を求めているという訳ではありません。
例えば、ヴィンテージ品やレアな商品、高価な商品に関しては2週間待ってでも手に入れたい人が多く、例えばeBayなどで購入するケースが当てはまるでしょう。
このようなケースでは、Amazonのように1-2日以内の配送というようなスピーディーさを、特に気にする必要はありません。
Amazon USにおいて、テスト販売含めアメリカで普段使いの商品を販売する際には、必ずアメリカのAmazon倉庫に納品しFBA対応(Primeマーク)を有効にしましょう。
FBA対応にするだけでも、商品の販売数がグッとアップします。
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アメリカのAmazonに出店する流れ&手続き
Amazon USに日本から出品するまでの大まかな流れと注意点をご紹介します。
①出店を決める前に
Amazon USでの販売を始める前に、確認しておきたい点がいくつかあります。
– アメリカの販売規制およびAmazon USの出品制限
アメリカでの販売規制やAmazon USの出品制限に抵触する商品は出品できません。
また、カテゴリによっては出品の前に許可が必要なものもあります。
(こちらに一般的な出品制限のカテゴリーがリスト化されています。)
– ニーズの有無
自社商品がAmazon USで売れるのか、事前にAmazon.comの人気商品を確認します。
日本からは食品や日本文化を感じられる商品、おもちゃなどが好評ですが、よく調べて戦略を決める必要があります。
Amazon USにおいてトレンド商品や検索されているキーワードのボリュームを調べることができるHelium 10というツールがあります。
Amazon USのFBA対応者の多くが使っている、アメリカでは有名な3rd Party Toolです。
こちらは月$97~利用ができますが、機能が制限された無料バージョンもありますので、ぜひ試しに一度サインアップをしてみてください。
アメリカAmazonでの商品販売には大きなポテンシャルがありますが、膨大な数のライバルとの競争に勝つには地道で骨の折れる努力が必要です。 そこで役に立つのが、強力なAmazon店舗運営支援ツールの「Helium 10」です。 労力を[…]
– Amazon USでの販売コスト
Amazonへの出店には以下の費用がかかりますので、費用が売上に見合うか事前に確認する必要があります。
- グローバルセリングの登録料……大口出品で月額$39.99(小口出品の場合は1商品あたり$0.99)
- 販売手数料……商品カテゴリによって8〜20%
- (FBAを利用する場合)FBA手数料
詳細はこちらからご確認頂けます。
アメリカでECビジネスを効果的に成長させる手段の1つがAmazon USへの出品です。 ですが、ただアメリカのAmazonへ商品の出品を行なったからといって、確実な売上を得れるわけではありません。 確実に売上を獲得したいのであれ[…]
②Amazon USに出店するための手続き
上記を確認してAmazonへの出店を決めたら、グローバルセリングに登録します。
大まかな流れは下記のとおりです。
- 日本のAmazonでセラーアカウントを作る
(すでに日本のセラーアカウントを持っている場合、このステップは不要) - セラーセントラルからグローバルセリングに登録する
- 必要書類をアップロードして認証を受ける
- 商品を登録して出品する
大口出品と小口出品を選べますが、ある程度の売上を目指す場合、大口出品を選ぶほうが無難でしょう。
クレジットカードは日本のカードでOKですが、銀行口座はアメリカの銀行の法人口座が必要です。
レンタル法人口座サービスを使うのがおすすめです。
認証までに数日かかる場合もありますが、一般的にはごく簡単に登録ができます。
自社でAmazon USを運営するメリットとデメリット
●Amazon USを自社運用する際のメリット
– コストを抑えられる
自社でのアカウント運用により、外注費用をカットできます。
– 実験的に始めて試行錯誤がしやすい
ごく小さく始めて手探りで拡大したい場合には、柔軟性の高い自社運用がよいかもしれません。
– 社内に知見が蓄積される
試行錯誤の結果、社内の担当者の経験値が高まる可能性があります。
●Amazon USを自社運用する際のデメリット
– 効果的な販売戦略を立てるのが難しい
アメリカのAmazonには膨大なセラーと商品があり、販売戦略なしでは自社商品が簡単に埋もれてしまいます。
日本の売れ筋商品がアメリカで不人気だったり、思わぬ商品が意外な目的で買われたりもします。
アメリカでの有効な販売戦略を考えるには、経験豊富な運用代行事業者に相談する方が無難だと言えるでしょう。
– 規制や商習慣など、アメリカ特有の事情がある
前述の販売規制に加え、返品の多さなど日本国内でのECとはまた違った難しさがあります。
越境EC初心者は、これらの障害を事前に把握するのに苦労するかもしれません。
– 英語力が売上を左右する
英語力にあまり自信がない場合でも、自動翻訳を使って商品紹介文などを英語にすることは可能です。
しかし、商品の魅力を的確に伝えて売上をアップするには、日本語からの直訳ではなく、自然で適切な英文を載せるに越したことはありません。英語に自信がない場合、自動翻訳を使って英文を作成したとしても、アメリカ人からして理解できない、あるいは不自然な表現に気づくことができないでしょう。
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アメリカのAmazon運用代行のおすすめ事業者3選
Amazon USでの越境ECで効率的に成果をあげるには、運用代行業者のコンサルを受けるのが近道です。
特に在米の日系事業者ならば、現地のニーズに基づいて的確な運用ができるうえ、日本語でこまやかに相談に乗ってくれる安心感もあります。
おすすめの事業者を3社ご紹介します。
1. Emily Assistant
URL |
https://www.emilyassistant.com/ |
所在地 |
アメリカ全土 |
価格帯 |
個人規模〜大規模プロジェクトまで幅広く利用可能 |
ポイント・備考 |
アカウントのセットアップから、輸入者代行、倉庫対応、広告運用までワンストップで対応。各社が必要とするスコープに合わせて柔軟に対応できるのが特徴です。Amazonサポート経験が豊富な英語、日本語ネイティブスタッフ多数。食品やコスメ、電子機器など多岐にわたる商品の販促実績があります。 |
2. Around The World
URL |
https://aroundthe-world.net/web/ |
所在地 |
カリフォルニア州サンディエゴ |
価格帯 |
個人規模でも利用可能 |
ポイント・備考 |
日本郵便との協業で日本からの配送サービスを提供しています。商品登録から倉庫業務まで。日本、アメリカをはじめ世界6拠点で越境ECを現地スタッフがサポートします。 |
3. トランスコスモス アメリカ
URL |
https://transcosmos.com/jp |
所在地 |
カリフォルニア州ロサンゼルス |
価格帯 |
中規模ビジネス以上向け |
ポイント・備考 |
米国ECにおける豊富なサポート実績があり、Amazonアカウント管理や戦略立案、広告運用、配送支援など一貫してサポート可能。 |
まとめ
この記事では、日本の企業がアメリカのAmazonで成功を収めるために知っておきたい項目をご紹介しました。
自国以外の国でビジネスを行うことは、勇気が必要で不安な点も多く、なかなか一歩を踏み出せずにいる日本企業も多いでしょう。
小売業者の場合、Amazon USであればグローバルセリングを利用することで、異国の地でゼロからビジネスをスタートさせることなく、世界的に知名度のあるAmazonを越境ECと位置付け、商品を出品することで日本国外の販売経路の確保が可能となります。
その中でもアメリカは日本に興味がある国民が多く、在米日本人も多くいるので、日本の商品を販売するにあたってピッタリな国だと言えるでしょう。
Amazon USのグローバルセリングを上手に活用して、アメリカで売上を確保しましょう。
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