2022年現在、全世界で970万人以上のセラーがAmazonへ出品していると言われております。
数多くのセラーが世界中のAmazonへと出品しておりますが、Amazonの本拠地であるアメリカでは年間10万ドル以上の売上を得ているセラーは、ほんの2000人とごく僅かとなっているのが現状です。
どれだけ良い商品をAmazonで出品したとしても、しっかりと戦略を練り正しい手順で運用しなければ検索上位に躍り出る事も、売上目標を達成する事も難しいと言えるでしょう。
売上を最大化する為の施策として、Amazon内でのスポンサード広告がありますが、そのパフォーマンスを測る為の指標も多く存在します。
この記事では、最も重要であると考えられる「Amazon広告におけるクリック率、コンバージョン率、ACOS、1日に費やすべき広告料金の目安」についてご紹介します。
アメリカAmazonで目指すべきクリック率とは?
アメリカAmazonで広告における平均クリック率(以下、CTR)は約0.40%と言われており、この数値もしくはそれ以上を目標に運用すると良いでしょう。
CTRとは…広告がクリックされた回数をインプレッション数で割ったもの
例えば、100インプレッションあたり1回の広告クリックがあった場合、CTRは1%となります。
CTRを向上させる方法とは?
Amazonでクリック率が低いということは、購入者が検索をしたものに対して「関連性のある広告が表示されていない=魅力を感じていない」という事を表しています。
これは、キーワードのターゲティングを最適化する必要があるか、商品ページの品質に問題があることを意味しています。
AmazonのCTRに悪影響を与える商品ページの課題には、以下のようなものが当てはまります。
- メイン商品画像の品質
- タイトルの品質
- レビュー数
- レビュースコア
- フルフィルメント方式(FBA or FBM)
- 価格設定
販売実績がない場合においても、商品画像の改善や価格の見直し、FBA化などできる事から作業を進め、売上よりもレビューを多く獲得できるようにしましょう。
なぜなら、せっかく広告で商品ページに誘導できたとしても、レビュー数が少ないとページを離脱する可能性が高まるからです。
多くのレビューを獲得する為の有効手段としては、追加費用が別途必要となりますが管理画面から「Early Reviewer Program」に参加し、なるべく早い段階でお客様から20件以上の高評価のレビューを書いて頂けるよう心がけましょう。
(メニューのAdvertisingから申請可能)
アメリカAmazonの平均クリック単価は?
クリック単価(以下、CPC)とは、広告がクリックされたときに支払う金額のことです。
Amazonの広告はオークション形式なので、広告出稿者が支払う金額は、対象のキーワードにおいて1番高い入札額を提示した人が選ばれます。
例えば、最高3ドルで入札を設定し、対象キーワードの入札で2番目に高い入札者が1ドルだった場合、CPCは1.01ドルとして入札されます。
最高額入札者が広告枠を獲得する可能性が高いのですが、一方でCPCが低ければ広告コストが抑えられるためROIも高くなります。
2020年以前のAmazon広告の平均CPCは約0.80ドル台でしたが、2021年は以下の通り、CPCが上昇しています。
CPCは、特に競争が激しいほど金額は高くなります。
これは検索している顧客に対して最適な広告が出るように他の出品者と競い合うことになる為で、コロナ禍の影響によりオンライン購入の需要も高まり多くのセラーが参入したことにより、2021年にAmazonのCPCが急上昇したと言われています。
(Statista: Average Amazon advertising cost-per-click (CPC) in the United States)
なおAmazon が推奨するクリック単価を使うこともできますが、単価が高かったり調整が必要な場合は、自身でCPCを0.60ドル – 1.50ドルあたりで設定して運用すると良いでしょう。
アメリカAmazonで目指すべきコンバージョン率は?
コンバージョン率(以下、CVR)とは、広告のクリック数のうち、売上に結びついた割合のことです。
もちろん他の指標と同様、状況や商材により大きく異なりますが、CVR 10% – 15%あたりの数値を維持できていればとても良い結果であると言えるでしょう。
また100ドル以上の高価な商品は、一般的にAmazon ではコンバージョン率が低いと言われています。
なおアメリカではAmazon以外のEコマース全体での平均CVRは、流入元や取扱商品などによっても違いがありますが、約1% – 3%あたりと言われており、米国Amazonの平均コンバージョン率約9.5%はとても良い数字だと言えます。
そもそもAmazonのオーディエンスは、はじめから購入目的で商品を検索しており、購入する準備ができているユーザーが多いと仮定ができます。
CVRを改善するには?
CVRが平均よりも著しく低い場合は、キャンペーン、リスティング、またはその両方に改善すべき点があるかもしれません。
キャンペーンの改善に関しては、特定のキーワードでコンバージョン率が低い場合があり、顧客が商品にたどり着いても購入していないことを意味します。
例を挙げると、クリスマスツリーを販売し、キーワードの1つは 「Christmas Tree (broad) 」を設定していることとします。
顧客が「Christmas Tree Stand」と検索した際に、キーワードがブロードマッチタイプなので、その検索結果に自社の「クリスマスツリー」の広告が表示されることがあります。
顧客がツリースタンドを探しているにも関わらず、あなたのクリスマスツリーの広告が表示されてしまい、顧客の希望に沿っていなかったので、購入はされずにツリーの商品ページを離れた可能性が高く、よってコンバージョン率が下がるきっかけになってしまいます。
あくまで一例ですが、広告に使用している各キーワードでコンバージョン率が低い場合は、リスティング広告の品質に問題がないか分析することをお勧めします。
次に最も重要なKPIの1つであるACOSに移りましょう。
米国Amazon で目指すべきACOSとは?
そもそもACOSとは、Amazon Advertising Cost of Salesの略称で、総広告費を総売上高で割ったものです。簡単な例としては、ACOSが25%の場合、1000ドルの売上を作るために250ドルの広告費を費やしていることになります。
Amazon広告が初心者の方が目指すべきACOS値はこちらです。
各セラーの販売フェーズにも大きく関わりますが、一般的にACOS 20%~36%の範囲で変動すると良いと言われていますので、その値を目安に運用をしてみましょう。
アメリカAmazonで1日に費やす広告コストの目安は?
最後に広告コストに関しての目安です。
スポンサード広告における広告コストは、アカウント、キャンペーン、広告グループ、またはキーワードレベルで設定できますが、広告には1日にどれくらいの予算をかけるべきでしょうか?
Amazon で最初のキャンペーンを開始する場合、予算設定などどこから始めればよいか迷ってしまう方も多いと思いますが、広告に費やすべき金額は各セラーによって異なります。
マーケティング予算を細分化して、毎月一定の広告予算を確保する企業もあれば、売り上げ状況を見ながら広告費のレベルを調整したいという企業もいるかと思います。
初心者の方で金額設定に迷った場合にはAmazonが推奨する「1日の予算を30ドル程度」にキャンペーン毎で設定し、まずはAutomatic Campaignから開始することをお勧めします。
この予算と競争力のある入札額があれば、より最適化されたキャンペーンを運用するために必要なデータを集めることができるでしょう。
そして損益分岐点に達するACOSをクリアできた場合、より広告にかける予算を増やし、そのACOSでできるだけ多くのインプレッション、クリック、売上を得ることが理想的です。
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まとめ
今回はAmazon 広告運用の中で多数ある指標の中から代表的なものをピックアップしました。
運用を進める上で様々な課題や問題点が出てくるかと思いますが、闇雲に調整をしても改善は難しいでしょう。
自身で改善を試みる場合は、今回ご案内した指標を達成できているかご確認下さい。
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オンラインアシスタント/Emilyは、日米バイリンガルが所属するオンラインアシスタントで、Amazonの広告運用のサポートはもちろんの事、初期セットアップ、商品の出品、商品説明文の翻訳、ロジスティックのルーティン化など、多岐にわたるサポートが可能です。
アメリカAmazonに関してお悩みや疑問点がございましたら、ぜひ気軽にお問い合わせ下さい。
【※注】
当記事の各指標については弊社COEL, Inc.独自のリサーチ結果に基づいてまとめた内容です。あくまで参考値として日々の運用にお役立て下さい。